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日がり曜日

僕のプライベートなフライフィッシングのお話です
空に浮かんだ白い雲 ぽかぽか陽気 こんな日は・・・

「お〜ぃ、ちょっと出かけてくるよ」
ひなたぼっこをしながらパッチワークをしている
かすみさんに声をかけながら素早く靴を履く

「どこ行くのよ〜 また釣り?」
「あたり〜 そんじゃ行ってくる!!」
「あっ ちょっと待ってよ〜〜」

車に乗ってしまえばこっちのもの
釣りの道具は全て車に積んである
車を西へしばらく走らせると僕のお気に入りの渓流がある
途中、まさちゃんの携帯に連絡を入れる
「いつもの場所に行くけど来る?」
もちろん、来るとの返事だった
車を西へ走らせる


舗装道路が終わり、萌え始めたブナの立木が
道脇に並び始めた辺りでギアを4輪駆動に替える
山道を右に左に小沢を渡りつつ登って行き石切り場から沢の方へ入ると
木立ごしに見える本流は底石が見透かせるほど澄んで陽に煌めいていた

いつもの伐採場あとに車を入れてエンジンをとめた
車から降りると目の前は渓流だ
沢を渡ってくる風がすがすがしい
山を見ると樹木は ほんわかとした萌葱色になってきている

僕はうちの裏にこんな渓流があるといいのに といつも思っている
こんど家を建てるんだったらこんな所がいいな、とかすみさんに言ったことがある
でも「スーパーが遠い」とか「クリーニング屋が遠い」とか言って猛反対
別荘なら良いといってくれたが そんなこと無理に決まってる
いまにみておれ! なんて思ってみたりするが・・・無理だろうな

芽吹いたミズナラの枝先が澄んだ空の下で揺れている
今日はのんびり釣り上がるつもりで#3ロッドのケースを取り出す
7フィート6インチのロッドは今の僕にはなくてはならない相棒になっている
竿を出してつなぎ、リールを付けた

ベストを着、ディバックの中のストーブやポットを確認して腕を通す
ウェーディングシューズの紐を締め、スパッツをまっすぐに直して
川へ続く山吹の花の道を降りた
肩ほどある灌木に、後ろに伸びた竿先がひっかかるのを
気にしながら斜面を下りると、やがて渓流にでる

河原に降り立って、リールのラインを引き出してガイドに通し
竿を一振りするとラインがスルスルと延びていく
リーダーを手で引っ張って癖を取った
ベストからフライボックスを取り出して
ブルーダンパラシュート#15を摘み出し、5Xのテイペットに結んだ

ホワイトのウィングは底石の上でよく見える
フロータントを出して、フライ全体に塗り付けた
フォルスキャストをしながら水に入ると
ウェーディングシューズ越しに冷たさが沁みてくる

ここは落差がほとんどなく
平らに広がって流れていて浅い瀬が続いている
ラインを10ヤードほど出して投げる
浅い流心をフライはゆっくりと流れてくる
左側の薮が川へおおいかぶさった下あたりの
ゆったりと水が動く小さなプールへフライが行くように
サイドキャストで振込む

ここは、去年の秋、ヤマメが出てきた所
だがフライはなにごともなく流れて、落ち込みの前の蔓にかかって止まった
おおいの奥に隠れていないのだろうか?
どうやらヤマメはここに今日はいないみたいだ

落ち込み、瀬脇、流心、ぶっつけ、色々なポイントにフライを入れ
今日の魚の付き場を探しながら、上流に向かう

崩れ落ちた崖の所を過ぎると、渓は大石が現れて深い淵が多くなる
水面が波立つポイントが多くなってきたので
フライをエルクヘアーカディスに替える

1メートルの落差で水が落ち、幅10メートルに広がる丸い大きな淵に出た
落ち込みから流心は、まっすぐに流れ
次のプールに落ちる手前で大きな石にぶつかり左右に分かれている

フライを淵のまん中になげると流れに乗って進み
大淵の所で行く先をちょっと迷ってから
リーダーに引っ張られて、右の方へ岩をなめるように滑り落ちていく

その時、大岩の下から魚が姿を見せた
竿をあげると手ごたえがありリーダーが変に引っ張られて水を切って淵を一周する
強引に引き寄せると20センチのヤマメに、尾ヒレに鉤先がかかっていた

魚の出がよくなり、石まわりを丹念に探って、数匹のヤマメをかける
糸を引っ張るとティペットのつなぎ目からちぎれたので
川に横たわる倒木に腰を掛けて、ティペットを交換する
土手にはニリンソウが白い花を咲かせていた

いつも型のよいヤマメが出てくる30メートルほどの長いプールに来て
クイルボディパラシュート#13に替える
淵の終わりの浅瀬に立ち込み、ラインを15ヤードほど出して
泡立つ落ち込みのすぐ後ろ 水のよれた流心にフライを落とした
ラインをリトリーブしながらたぐる

フライは揉まれながら水面を滑り
淵の掛け上がりに来た時ヤマメが追ってくるのが見えた
水面近くで躊躇して反転する

急いでリールを巻いて、魚に気付かれないように横に逃げてから
フライをワンサイズ小さいのに付け替える
今度は魚が潜んでいた辺りへショートキャスト
瞬間的に出てきて、合わせる
浅瀬へ引っ張ってくるとバシャバシャと暴れた
25センチのヤマメだった

橋の所までくると、まさちゃんが待っていた
「どう?釣れてる?」
「まぁまぁだね。この先はまさちゃんが先行して、僕は後ろからついて行くから」

まさちゃんは身支度をして僕の前を釣り上がって行った
彼は毛鉤釣りを始めたばかりの頃27cmのヤマメをこの渓で釣り上げてしまった
その時に仕事中の僕に報告してきたのだからよっぽどうれしかったんだろう
それ以来、テンカラ釣りにどっぷりとはまっちゃっている

彼はテンポよく釣り上がって行った
魚が釣れた時は、こちらを振り向いてVサインを送ってくる
今日は調子が良いらしく何回もVサインを送ってきた


薄暗い渓谷状の風景が切れると
川は幹が一抱えもありそうな灰青色のブナ林の中を
ゆったりと流れ、鏡のような水面が右へ左へ続く

底が砂地でほとんど流れがないような緩やかで大きなすり鉢状の溜まりに出た
ヤマメが十数匹も底のほうを泳いでいるのが見える
晩秋、浅瀬に寄り添う2匹のヤマメや
掘り起こされて砂色の変わった産卵床などを何度かここで目撃した
ヤマメたちが産卵のために集まる場所なのだろう

この溜まりは不思議な場所で、流れ込みで飛び出すこともあれば
淵の中心にフライを置いたままじっと待っていると出てくることもある
浅瀬に沈んだ石の陰に隠れているヤマメもいるし
淵から出た流れがぶつかった所の窪みで待っている魚もいる

何時だったかここで「まさちゃん、見える魚は釣れないよ」と言ったことがある
その時、まさちゃんはすでに毛鉤を打ち込んでいたドラッグが掛かりはじめた時
予想もしないことが起きた。大きなヤマメが毛鉤に飛びかかったのだ
それ以来僕もここでは必ずフライを流すことにしている
止水になった中心部に#16のブルーダンを投げると、魚が走って逃げた

目の前を、影が飛んだ
その行方を追ってみるとカワセミがいた
カワセミの前を見ると大石のそばの溜まりに、沢水が流れ込み
その下でヤマメがゆらめいているのがわかった
河原に膝まずいて振り、ラインを岸に残しリーダーだけ水面に落とす
間をおかず水が泡立って糸が張る
ラインを引くと石にはさまって動かない
手繰って走ると力が抜けて、魚は大石の底へ入って行く
フライがなくなっていた
カワセミが目の前を飛んで行った

もう、僕は十分だった
草の生えた場所に座りザックを下ろして湯を沸かし
水底で動きまわるヤマメたちを眺めながら、珈琲を飲んだ
寝転んで空を見ると、ポッカリ白い雲があった
風がつかめそうな気がした

リールを最後まで巻き込んで、土手を登り林道へ上がる
途中、タラの芽を数本採ってベストのポケットに入れた
眼下のブナ木立の中で光る流れを観ながら帰り道を歩いた

家に着くとクッキーの焼ける匂いがしていた
「ちょうどいいところに帰ってきたみたいだね」
「お帰りなさい 釣れたみたいね〜機嫌がいいものわかるわ」
「紅茶でも入れようか?」

青い空に浮かんだ白い雲をみながらティータイム

あぁ〜 明日はどこに行こうか


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