お酒もドラッグ,恐ろしい!!

指示1. この絵を見て,思ったこと,考えたこと,わかったことを1つ書いた人から立って発表しなさい。

ーーークリックすると大きな画像が出てきます
説明1.上の絵の説明へ

指示2. お酒を飲み続けアルコール依存症になった人が,お酒をやめると,このほかにどのようなことが起こるのでしょうか。ノートに書いた人から発表しなさい。

説明2.アルコール依存症の説明へ

指示3.お酒を飲み続けることは,体にどのように悪いのでしょうか。ノートに書いた人から立って発表しなさい。

説明3.体に悪い理由へ

アルコール依存症で苦しんだ人たちの文を読む。

指示4.みなさんも,ともだち,中学生の先輩からお酒を勧められることがあります。その時どうしますか。ノートに書いた人から発表しなさい。

 

ここで終了です。以下説明文が続きます。

説明1.

 長い間,お酒を飲み続けた人が体調をくずし,お酒を飲めなくなったときにこのような幻覚を見たのです。

 今まで見たこともない恐ろしい怪物に自分の足をかみ切られる恐怖が脳裏に焼き付いたのだそうです。

 この人は,このような幻覚を見ないようにお酒を飲み続けるようになったのです。

 このように,お酒を飲まずにはいられなくなることをアルコール依存症といいます。

幻覚:実際に見えないのにそのものが見え,音がないのにそれが聞こえること。

脳裏:頭の中に浮かぶ考えや記憶の一部分。(例)脳裏をかすめる。

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説明2.
1.手や舌がふるえ,字を書いたりコーヒーが飲めなくる。
2.眠れなくなる。
3.ボケてしまう。今,自分のいるところや時間が分からなくなる。
4.他の人がいっていることがわからなくなり暴力を振るうようになる。

 アルコール依存症になると 手や舌がふるえ,字を書いたりコーヒーが飲めなくなったり,眠れなくなったりボケてしまい,今,自分のいるところや時間が分からなくなる。
また,他の人がいっていることがわからなくなり暴力を振るうようになります。
 
ところが,お酒を飲むとこのようなことはなくなります。
手足がふるえたり眠れなくなったり恐ろしい幻覚を見たりすることがなくなるのです。だから,またお酒を飲んでしまうのです。
 このように,お酒をやめられなくなってしまうことをアルコール依存症といいます。
アルコール依存症になるとお酒の量がだんだん増えていきます。
はじめのうちはビール1缶で気持ち良くなります。ところが2〜3ヶ月飲み続けると1缶では気持ちよくならなくなってしまいます。
そこで2缶飲みます。気持ちよくなります。ところが2〜3ヶ月たつとまた酔わなくなり気持ちよくならなくなるのです。すると,今度は3缶というふうにどんどん増えていくのです。
人間の体というのはだんだんお酒に強くなっていくのです。そして,やめられなくなっていくのです。

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説明3.

黒板に簡単な肝臓や胃の拡大カラーコピーをはり,次のように説明をした。

 肝臓は身体の中で一番大きな器官です。身体の中の毒素を分解しています。肝臓の一部が疲れ切ってしまいます。そうすると体の中に毒が回って死んでしまいます。

 胃は食べたもの消化する大事な器官です。お酒を飲むと胃の粘膜が刺激を受け腫れたり傷がついたりします。このころ胃がしくしく痛むようになります。それでもまだ飲み続けていくと胃に穴があきます。こうなると痛くて痛くて冷や汗を流し転げ回るほどになります。

 アルコールは栄養やビタミンを分解します。せっかく食べたおいしいものも分解してしまうので,栄養として体に取り込まれないのです。そのため成長も止まってしまうのです。ひどいときには栄養失調になることもあり入院し点滴をすることもあるのです。

 妊娠しているお母さんがお酒を飲みます。身体の中の赤ちゃんは毎日毎日細胞分裂を繰り返して成長していきます。特に赤ちゃんの脳細胞はものすごい勢いで細胞分裂を繰り返し発達しているのです。

その時,お母さんがお酒を飲むと,そのアルコールで赤ちゃんの脳細胞がこわされてしまうのです。成長も止まってしまいます。低体重児といって普通よりも体重が少く生まれてしまうのです。あまり小さいまま生まれると赤ちゃんは生きていけないのです。

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アルコール依存症で苦しんだ人たちの文
1.酒が原因で3年間の結婚生活が破綻して,またひとり暮らしになった僕が30歳の頃・・・
 所持金5000円をもってたどりついた,東京大田区の安アパート。家賃は12000円。
 誰かが駆け足で階段を上ってくると,部屋全体が揺れた。5000円をもとにして日雇いの仕事で家計を立て直すつもりだったが,所詮,酒を飲み,つもりはいつもつもり,あっという間に避けに変わった。頼るところもなく,別れた妻に電話して5000円をを工面してもらい夜中に取りに行った。家には入らず郵便受けからお金を取って帰って損案自分をきた。そんな自分を浅ましいと思う余裕もなく,目先の金が手に入ったことにほっとした。
 おそらくその金も飲んでしまったと思う。

2.そんな生活でもなんとか食って飲んでいた。約2年間の間に,運転手 ・教材セールスマン・塾教師・プレス工員雑務、みんな二日酔いで1日休み2日休み無断欠勤というパターン。いよいよ、日銭に困ると日払いの製本工場に行けばよかった。朝飯を食う金がない時、角砂糖をかじって昼間で持たせ、工場でもらえる昼食券を飯にありつくまで空腹をこらえた。
 こんな食うや食わずの生活でも、「お金が入れば酒が飲める」が唯一の希望だった。それまでに多くのものを酒を飲んで壊し失っていたが、後悔する気持ちなど更々なく、また過去を振り返る精神的なゆとりができる生活ではなかった。

3.ある会社に勤めていたとき、自分が集金していた貸付金20万円に手をつけた。後のことは考えることもできなくて、今宵飲んで死ねたら・・・と自暴自棄の気持ちだった。このときばかりは、一緒に飲んだ破天荒なのみ友達もびびって止めようとしてくれたが、一杯入ったら後戻りはできない。結局飲んでしまった。
 アパートに帰ると会社のものが訪ねてくると思い、リュックリュックをかついで部屋を出た。公園のベンチにあったスポーツ新聞の仕事案内で「宿なし歓迎」の文字を見つけ電話した。
 後で知ったが、使い込んでいた20万円は兄が支払ってくれていた。

4.放浪は酔っぱらって乗ったタクシーの無賃乗車で警察につれていかれて終わった。その日食えればいいが身に付いていて、偽名を使っていたので「詐欺罪」で一週間拘置された。三度の食事、入浴は週2回。着替えも支給された。鉄格子の中で西村寿行の推理小説ばかり呼んで過ごした。僕が勝手に知人とした人の名前を告げ、未払いのタクシー代を払ってもらい釈放となったが、「知人」は僕の生き様に愛想をつかし、絶交を言い渡された。
 警察をでるとき、僕を哀れんだのか刑事さんが3000円くれた。おそらくその金もすぐに酒に化けたのだろう。

5.さすがに、「明日の飯はわからない」暮らしにもくたびれ果て、とうとう田舎に田舎に帰ることにした。帰るときに近くの国鉄駅に見送りにきたのは、日本画家のHさん一人だった。
 僕の鞄をさげてくれた。そして、楽でもない暮らしの中から工面した5000円を「選別」として僕にくれた。 
 その金も夜汽車の中で見知らぬ臨時の人と「都落ちの祝杯」と称して飲んでしまった。
 そして前後不覚になり、気がついたときは、帰るべき田舎でなく、大阪の繁華街にいた。
 あわててポケットを探ると、所持金はなく、乗車券のみ。
 わけもわからないまま事件高校に進み、某有名国立大学に入学して始まった「都暮らし」は鈍行列車を乗り継いでの惨めな「都落ち」で終わった。

6.追伸
 こうして書いてきて、僕の周囲にあった人々の優しさに気づきます。
 当時、それに気づかず、「所詮人はひとり」と突っ張って、見栄の前の酒におぼれていた自分の愚かしさが悲しいです。Hさんにいただいた5000円をまだ本当に生かしてないような気がします。それは、僕が飲むためにくださったのではなかったはずです。


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