宮城県亘理町荒浜海岸にも高度濃度のダイオキシンが検出か
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この焼却炉の灰から高度のダイオキシンが! | 亘理町荒浜の海岸付近では!! |
ダイオキシンは、発生源から大気中に放出され、土壌、河川、海水等の環境を汚染しさらに、そこで生育する動植物に取り込まれます。
これらの動植物の多くは、私たち人間の食料となり、それと一緒にダイオキシンがヒトの体内に入り込んできます。
【ダイオキシンの汚染経路】
食品のダイオキシンに関する調査としては、環境庁や東京都が、海水汚染等との関連で特定水域に生息する魚介類のダイオ
キシン汚染状況を調査したものなどがありますが、食品そのものをターゲットとしたものとしては、厚生省が平成4年から実施して
いる「食品中のダイオキシン汚染実態調査研究」が代表的なものであり、それに基づいて、食品のダイオキシン汚染状況を見て
みることにします。
なお、ここでは検出された各種のダイオキシンを2,3,7,8-TCDDに換算し、一定の数値が得られたものを「ダイオキシン(+)」とし、
それ以外のものについては「ダイオキシン(ND)」としています。
また、この調査では、平成7年度までと平成8年度では、ダイオキシンの検出限界が異なっていて、平成8年度にはより微量の
ダイオキシンも検出できるようになっていることから、これらをまとめてしまうと誤解の生じる恐れがあるため、平成8年度分は別個
に紹介します。
● 平成4年度 → ダイオキシンの種類により 〜平成7年度実施分 1〜5ppt ● 平成8年度実施分 → ダイオキシンの種類と食品の種類により 0.01〜0.1ppt |
(1)食品中のダイオキシン汚染実態調査研究結果(平成4〜7年度実施分・厚生省研究班)
@ 魚介類の調査結果
食品のうち、最もダイオキシン汚染をうけている可能性のあるものとして、魚介類が挙げられます。発生源から放出された
ダイオキシンは、大気、土壌等を経由して河川や海水を汚染し、そこに生息する魚介類に取り込まれ、脂肪組織の中に蓄
えられるためです。
このような観点から、本調査研究においても、多くの種類の魚介類についてダイオキシン含有量を調べています。なお、
検体とした魚介類は、東北、東京及び大阪で市販されているものであり、産地等は不明です。
結果は表にまとめたとおりです。
魚介類名 | 検体数 | ダイオキシン ND | ダイオキシン + | 検出範囲 (ppt) |
マイワシ | 2 | 2 | 0 | |
イワシ | 1 | 1 | 0 | |
カツオ | 2 | 2 | 0 | |
マガレイ | 1 | 1 | 0 | |
アマテガレイ | 1 | 1 | 0 | |
ギンダラ | 2 | 1 | 1 | 0.1 |
シロサケ | 2 | 2 | 0 | |
マサバ | 10 | 2 | 8 | 0.6〜1.4 |
サンマ | 3 | 3 | 0 | |
マダラ | 2 | 2 | 0 | |
トビウオ | 2 | 2 | 0 | |
ニシン | 2 | 2 | 0 | |
ハタハタ | 2 | 2 | 0 | |
ヒラメ | 2 | 2 | 0 | |
ホッケ | 2 | 2 | 0 | |
マグロ | 2 | 2 | 0 | |
マカジキ | 2 | 2 | 0 | |
スルメイカ | 2 | 2 | 0 | |
モンゴウイカ | 2 | 2 | 0 | |
ズワイガニ | 2 | 2 | 0 | |
タラバガニ | 2 | 2 | 0 | |
マアジ | 10 | 6 | 4 | 1.05〜2.35 |
アナゴ | 4 | 2 | 2 | 0.15 0.7 |
セグロイワシ | 1 | 1 | 0 | |
キス | 2 | 2 | 0 | |
キンキ | 9 | 1 | 8 | 0.1〜0.85 |
コノシロ | 2 | 1 | 1 | 0.2 |
スズキ | 8 | 4 | 4 | 1.2〜3.0 |
マダイ | 4 | 4 | 0 | |
タチウオ | 10 | 2 | 8 | 0.5〜3.95 |
ナマコ | 2 | 0 | 2 | 0.014 0.025 |
ハマチ | 10 | 2 | 8 | 0.1〜1.6 |
ボラ | 10 | 7 | 3 | 0.1〜1.2 |
マダコ | 2 | 2 | 0 | |
ガザミ | 8 | 5 | 3 | 0.011〜9.51 |
シャコ | 2 | 0 | 2 | 8 |
イセエビ | 2 | 2 | 0 | 0.11 0.361 |
クルマエビ | 2 | 2 | 0 | |
アサリ | 2 | 2 | 0 | |
シジミ | 10 | 1 | 9 | |
アワビ | 2 | 2 | 0 | 0.007〜0.048 |
カキ | 8 | 5 | 3 | |
サザエ | 2 | 2 | 0 | 0.006〜0.1 |
ハマグリ | 2 | 2 | 0 | |
ホタテガイ | 4 | 4 | 0 | |
コイ | 2 | 2 | 0 | |
ワカサギ | 2 | 1 | 1 | スズキ |
ウナギ | 2 | 2 | 0 | 0.1 |
アユ | 2 | 2 | 0 | |
ニジマス | 2 | 2 | 0 | |
ハゼ | 1 | 1 | 0 |
衛生研究所調べ 1998.05.01
A 輸入魚介類及び沖縄産魚介類の調査結果
我が国に輸入される魚介類と、東京では馴染みのない沖縄産魚介類について調べた結果をまとめて表にしました。
なお、本研究をまとめた「食品中のダイオキシン汚染実態調査研究班」は、輸入魚介類はダイオキシン汚染レベル、汚染頻度とも低いとしています。
〇 ダイオキシン(ND)の輸入魚介類(輸出国)
サバ(中国)、カレイ(ロシア)、シタビラメ(タイ)、アジ(アイスランド)、アオヒラス(チリ)、タチウオ(インドネシア)、 キス(インドネシア)、ギンダラ(アメリカ)、メロ(アルゼンチン)、キンキ(アメリカ)、サクラダイ(モーリタニア)、 ハリバット(スペイン)、タラ(カナダ)、エビ(フィリピン)、ワタリガニ(ベトナム)、イカ(ベトナム)、タコ(ベトナム)、 アケガイ(フィリピン)、アカガイ(ベトナム)、イガイ(ニュージーランド)、カレイ(不明)、ホッキガイ(不明)、サザエ(不明) |
〇 ダイオキシン(+)の輸入魚介類
魚介類名(輸出国) | 検体数 | 検出値(ppt) |
グリーンランドハリバット(不明) オーシャンパーチ(不明) バイガイ(不明) |
1 1 1 |
0.1 0.2 0.006 |
〇 沖縄産魚介類のダイオキシン検査結果
沖縄産魚介類は、5魚種について調べていますが、いずれもダイオキシン(ND)となっています。
キツネブダイ、タカサゴ、ニセカンランハギ、ハワイチビキ、ホオアカクチビ |
B その他の食品の調査結果
魚介類以外の食品については、畜産食品、調理魚介類について調査を行っています。
〇 畜産食品の調査結果
畜産物のうち、ダイオキシン(+)であったものは、牛肉(1/4)、豚肉(1/6)であり、他の食品はダイオキシン
(ND)でした。この調査をまとめた研究班(前出)は、我が国の酪農製品はダイオキシン汚染レベル、汚染頻度と
も一般に低いことが予想されるとしています。
食品名 | 検体数 | 検出せず | 検出する | 検出範囲(ppt) |
牛乳 鶏卵 牛肉 豚肉 鶏肉 |
6 6 4 6 4 |
6 6 3 5 4 |
0 0 1 1 0 |
1 0.005 |
〇 調理魚介類の調査結果
調理魚介類については、1997年(昭和52年)に逆上って、それ以降の経時的な変化を見ていますが、
いずれの検体もダイオキシン(ND)との結果がでています。
検体採取時期 | 検体数 | 検出せず | 検出する | 検体採取地域 |
1977(昭和52年) 1982(昭和57年) 1987(昭和62年) 1991(平成 3年) 1994(平成 6年) 1995(平成 7年) |
3 3 1 2 3 2 |
3 3 1 2 3 2 |
0 0 0 0 0 0 |
宮城、東京、大阪 宮城、東京、大阪 大阪 大阪、名古屋 横浜、名古屋、大阪 名古屋、大阪 |
また、ダイオキシンを検出したマサバ1検体を用いて、塩焼きにした場合のダイオキシン量の変化を
調べていますが、変化はみられなかったとしています。
マサバ(ダイオキシン量1.3ppt) ─塩焼き→ 塩焼きマサバ(ダイオキシン量1.3ppt) |
(2)平成8年度食品中のダイオキシン汚染実態調査研究結果
@ 魚介類の調査結果
平成8年度には、これまでの調査でダイオキシン濃度が高かったものを選んで検査を行っています。
魚介類名 | 検体数 | ダイオキシン ND | ダイオキシン + | 検出範囲(ppt) |
マサバ ガザミ マアジ |
3 3 3 |
0 0 0 |
3 3 3 |
0.202〜0.902 0.527〜1.526 0.308〜0.894 |
3魚種とも、これまでの調査結果を上回るダイオキシン濃度ではありませんが、全ての検体からダイオキシンを
検出していることが注目されます。これは、検出限界が下がったことで、これまでは検出されなかった微量のダイ
オキシンが検出されるようになったためと考えられます。
A その他の食品の調査結果
魚介類以外では、畜産食品と野菜について検査を実施しています。
特に、野菜については、初めての調査です。
〇 畜産食品の調査結果
畜産食品においても、検出限界が下がった影響と思われますが、前年度までの結果と比べてダイオキシン
検出頻度が高まり、微量ではありますが全ての検体から検出されています。
食品名 | 検体数 | 検出せず | 検出する | 検出範囲(ppt) |
牛乳 牛肉 豚肉 鶏肉 |
3 3 3 3 |
0 0 0 0 |
3 3 3 3 |
0.005〜0.008 0.226〜0.429 0.004〜0.021 0.006〜0.009 |
〇 野菜果実等の調査結果
野菜果実等については、平成8年度に初めて実施されました。結果をみると、主食である米、果実(ミカン)、
野菜のうちダイコン、タマネギからは検出されませんでしたが、他の野菜等については、魚介類と比較すれば
低い数値ではありますが、ダイオキシンを検出しています。
これらの結果をこれまで実施された各種調査結果と比較して、野菜のダイオキシン含有レベルは、ほぼ同程
度であるとしていますが、 最も高い数値を示したのはホウレン草については、比較できる調査結果等が見当
たらず、今後更に検討が必要であるとしています。
食品名 | 検体数 | 検出せず | 検出する | 検出範囲(ppt) |
米 ジャガイモ 金時豆 ドイツ豆 ミカン ニンジン ホウレン草 大根 タマネギ キャベツ トマト |
3 3 2 1 3 3 3 3 3 3 3 |
3 1 0 0 3 0 0 3 3 2 2 |
0 2 2 1 0 3 3 0 0 1 1 |
0.001 0.008 0.001 0.002 0.045 0.001〜0.010 0.095〜0.281 0.001 0.001 |
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